オレオ警部「むう、どういうわけだ。特別展望室には猫の子一匹はいる隙間もなかったということになる」
ノルウェージャン卿「特別展望室の扉を閉めるまで、確かに黄金の猫じゃらしがあったことは、うぉっほん、このわたし自ら確認しておるのだ」
オレオ警部「しかし扉閉鎖から一時間後に室内から煙が出てきて、クロネコ警官隊が扉を破って突入した。室内にはヘビ花火がタイマーで発火する仕組みが仕掛けられていた。難問ですな」
クロネコ警官隊隊員「オレオ警部! 特別展望室へ上がる階段そばにいた目撃者に聞き込みをしました。扉が閉ざされてから、猫の子一匹降りてきたものはいなかったそうであります。クロネコ警官隊が突入してしばらくしてシロネコ新聞社の記者が『黄金の猫じゃらしが盗まれた!』と駆け下りてきて、あたりは騒然となったそうです」
ノルウェージャン卿「オレオ警部、早いところ、犯ニャンを探しだしてくれたまえ」
オレオ警部「この一帯を封鎖しているので、犯ニャンは必ずこの中にいます。しばしお待ちを」
オレオ警部「……とはいったものの、行き詰まってしまったぞ。どれ、困ったときはこたつ布団を揉もう」
もみもみ、もみもみ。
オレオ警部「ふう、のどが渇いてしまった」
タキシードの執事「オレオ警部、お飲み物をお持ちしましょう」
オレオ警部「では、カフェラテを頼みます」
執事「かしこまりました、カフェラテいっちょう、いただきました! カフェアートもよろしく」
オレオ警部(随分のりの軽い執事だな。む、カフェアート? ひょっとして、こういうことか)
オレオ警部「犯ニャンは実に大胆な行動に出ました。ノルウェージャン卿が特別展望室の扉に鍵をかけた際、犯ニャンはこっそり中に隠れていたのです」
クロネコ警官隊「しかし、我々が突入した際、室内には誰もいませんでした。猫の子一匹」
オレオ警部「犯ニャンはドアの脇に身を潜めて、室内にクロネコ諸君が飛び込んだ後、こっそり抜け出して階段を駆け下りたのです。その背中は黒くクロネコの諸君からは、仲間のクロネコが外へ連絡しに言っているようにしか見えなかった」
ノルウェージャン卿「しかし、下にいた観客は誰も見ていないのだろう」
オレオ警部「見て言います、シロネコ新聞社の記者をね。下から見ると、シロネコに見えたというわけです。つまり、その犯ニャンは背中が黒く、腹が白いタキシードのあなただ! ひじき氏」
執事改めひじき氏「ばれちまったか。オレオ警部さえいなければ、この黄金の猫じゃらしを手にさっさと脱出できていたのに。こうなったら、えーい」
ぽかり。
オレオ警部「また逃げられたか。次こそは捕まえてやるぞ、ひじき氏。相手に不足はない!」
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